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俺たちの真田太平記2 ~なぜ上田で戦うことになったのか~

長野県上田市での戦いが幕を開けたのは、昨年10月の初旬。天気が良く、夏のような暑さを感じさせる日だった。

トビタはご存知、東京在住。一方、相棒のフラットYは愛知在住。
その2人がなぜ、わざわざ旧友のいる上田に出向いて、女子との戦い、いわゆる合コンをすることになったのか。
きっかけは9月にまでさかのぼる。

9月下旬、ある友人が東京で結婚式を挙げた。その友人は中学の同級生で、当日は結婚式に出るために数多くの懐かしい面々が顔を揃えた。
その中にいたのがフラットYと、現在、上田に住む旧友だった。

それにしても、そろそろ上田に住む男にも、何かしらの名前を与えなければならない。でないと文章がいまいち読みにくい。
そこで、上田に住むこの男の名をDMAT(ディーマット)としたい。この名前にも特に意味はない。

トビタとフラットYとDMAT。ラッパー集団のような名前の3人は、中学の同級生という関係である。そしてトビタは東京、フラットYは愛知、DMATは上田に住んでいる。その3人が、ある友人の結婚式に招かれて顔を合わせたということだ。

ここで重要なのは、DMATも無類の女好きだということ。
世の中に下衆の極みが存在するとすれば、それはDMATのことだ。トビタはかねてからそう信じている。

一時はソープ界で生計を立てようとしたトビタ。そんな変態トビタでさえ憧れるのが、DMATだ。
だからこそトビタは、いつかDMAT先生と合コンをしたいと考えていた。

「DMAT、俺も色々な経験を積んだ。そろそろ一緒に戦わせてくれ」

トビタは思い切って志願した。するとDMATは、意外にもあっさりOKしたのである。

何でもDMATは、近頃狙っている女子がいたらしい。ただその子は彼氏持ちのため、2人で会うのは厳しい。
となると、その子と飲む機会を作る口実として、合コンがベストだったようなのだ。

「そうだな、トビタのためにも一席設けよう」

まさかの一発了承。驚くトビタを尻目に、DMATはもう女の子に交渉メールを送っていた。

この合コンが実現する場合は、当然、上田での開催だ。東京から遠征する必要があるトビタは、DMATに希望の日程を伝えた。DMATもそれを聞きながら、女の子の返信を待っていた。

するとその時、ある男が口を開いた。フラットYだ。

「10月にやるのか。俺は3週目以外なら大丈夫だ。また日が決まったら連絡してくれ」

DMATとトビタ。てっきり2人でやると思っていた上田合コン企画だったが、それは勘違いだったらしい。早とちりだったらしい。
こちらの気付かぬうちに、フラットYも参加メンバーに名を連ねていたのだ。

フラットYの発言を聞いたDMATは、明らかに一瞬、動きが止まった。そして瞳孔は開き、体温は上昇。背中からは湯気が立ち上った。
トビタは意識が遠のいたため、その時の記憶がはっきりしない。いずれにせよ、フラットYの参戦表明は、それほどまでに2人を困惑させたのだった。

なぜ、百戦錬磨のDMATとトビタがパニックに陥ったのか。それは、フラットYが合コンでどんなキャラになるのか、まったく想像がつかないからだった。

前回も触れたとおり、フラットYは中学の頃、まさに硬派そのものだった。
女子が来れば目を細めて威嚇し、トビタの好きな女の子に対しては、人権侵害レベルの誹謗中傷を繰り返した。そのフラットYが合コンメンバーに名を連ねるのである。

フラットYが参戦を表明した瞬間、トビタはすぐに回避策を考えた。

「フラットY、愛知から上田は遠いぞ。合コンをやるとしても、普通の週末になる。つまり、土曜の夜にやって、日曜には帰らなければならない。そんなハードスケジュールの中でフラットYに来てもらうのは申し訳ない」

トビタ渾身の説得だった。
だが、フラットYは考えを変えなかった。

「いや、車で行けば余裕だろ。なんなら月曜は休みにしてもいい。とにかく早く日程を決めてくれ」

やや食い気味の返事だった。

あのフラットYと合コンを開催する。トビタは大いに不安を感じた。しかし、しばらく経つと、落ち着きを取り戻したDMATが別の見解を示した。

「いや、フラットYにも来てもらおう。そしてあともう一人、俺の友達の男を呼んで、4対4で実施しよう。その方が、トビタにとってもプラスだろう」

DMATはこう言い切ったのである。
トビタは混乱した。なぜフラットYを呼んだ方がいいのか、まったく分からなかった。しかし、考えて考えてその意味に気付いた。

単純にいえば、数の論理だ。フラットYが来るということは、向こうも女子が一人増えるということである。2対2の合コンより、4対4の合コンの方が、かわいい子が来る可能性は当然高い。

もちろん、フラットYではなく、他の男を連れていくことも不可能ではない。
ただ、合コンとは男友達の遊びでもある。ならば、長い付き合いであるフラットYと戦いに挑むのも悪くない。いや、それこそが、中学以来続くこの関係の集大成なのではないか。

そんなことを考えながらふとフラットYを見た時、トビタは驚いた。フラットYよ、何という目の輝きをしているのだろうか。
まるで中学生が初めてAVを見るような、まるで高校生が初めて生おっぱいを見るような、キラキラの目をしている。

あんなに嬉々としたフラットYを合コンに参加させないなんて、そんなことできるわけがない。
トビタは自分を責めた。

結果的にトビタはDMATの案を受け入れた。
トビタとフラットYとDMAT、さらにDMATの友達を加えた4人で、上田の戦いに挑もう。そう決心したのである。

友人の結婚式から数日後、DMATからLINEで連絡が来た。「合コンの日にちが決まった。10月●日だ」そう記してあった。

こうした経緯をたどって、10月の上田の戦いは行われたのである。


つづく  
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プロフィール

トビタ シンイチ

Author:トビタ シンイチ
24歳のときに訪れた飛田新地に深く感動。以来、あの地を心の故郷と仰ぎ、風俗にハマる。最近は素人にも興味を抱き、合コンやナンパ三昧の日々を送る変態ライター。
「飛田新地は文化遺産だ!」委員会会長(会員1名、後援会員6名)

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