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あえぎ声の重要性

トビタが初めてエッチを体験したのは大学2年の初め。19歳の春である。
そのとき相手になってくれたのは、2個上のアダルティーな女性。

こんな風に聞くと、年上女性に手とり足とりエッチの手ほどきを受けたようにイメージするかもしれないが、現実は正反対。年上女性は最高級のマグロだった。

その人はエッチのテクニックなど持ち合わせていないし、出来るのはオーソドックスなフェラだけ。
騎乗位もぎこちなければ、攻めるなんてことも一切しない。

そして何より、あえぎ声というやつを一切出さないのだ。プレイ中は無言。
そこにトビタの気持ち悪い声がときどき聞こえる状況。AVなら、確実にNGでお蔵入りだろう。

それでも当時は、その女性とのエッチに大満足で、やってもやっても飽き足らない状況だった。
エッチをやって、彼女が帰ると、そのプレイを回想してオナニー。
あえぎ声なんてまったく必要ない。それより無言で感じているほうがずっとエロい。

トビタはそんな持論を胸に、日々のエッチに勤しんでいた。

それから7年。
先日、粘りに粘った末、ある女の子をベッドに連れ込んだ。それも、千葉の東○インで。

ここまでくれば勝利は確実。あとはいかに満足いくプレイを提供できるかにかかっている。なんて色々考えながら、トビタはいつもの流れで少しずつ攻めていく。

この日のトビタは絶好調だった(と、自分では思った)。なぜなら久しぶりに、片手でブラジャーをあっさりと外せたからだ。初対戦の女の子にはあまり成功しないのに。

だけど、どうも盛り上がらない。相棒もいつものような、はち切れんばかりの興奮状態にならない。
その理由は分かっていた。相手が完全なマグロだったからだ。

服を脱がせて胸を触っても、微動だにしない。硬直状態のまま。まったく動かない。
そして何より、まったく声を出さない。あえぎ声なんて全然聞こえてこない。

相棒は、相手のあまりの硬直っぷりに、いよいよボイコット体制に入った。
そしてトビタの心も、だんだんと萎えてしまったのである。

7年前、初めてエッチの喜びを知ったあの時代。トビタはあえぎ声なんてまったく求めずに、エッチを楽しんでいた。相手がマグロだろうが何だろうが構わなかった。
やらせて頂けるだけで感謝。お入れしてもよろしいでしょうか。ありがとうございます。

あのときは確かに、そういう思いで女の子と向かい合っていた。

しかし。それから何人かの女性と対戦して、さらに飛田新地や吉原のソープを味わって、いつの間にかあえぎ声のないセックスに不満を感じるようになってしまった。
これを贅沢になったというのだろうか。謙虚さを忘れてしまったというのだろうか。

もしかすると、あえぎ声が聞こえない状況に、自分のテクニック不足を感じていたのかもしれない。
それが自分の気持ちを萎えさせたのかもしれない。

願わくは、ゴルゴ13のようになりたい。
無表情、「……」状態のゴルゴの上で金髪女性が大絶叫するような、マグロがマグロでいられなくなるような、そんな男になりたい。
プロフィール

トビタ シンイチ

Author:トビタ シンイチ
24歳のときに訪れた飛田新地に深く感動。以来、あの地を心の故郷と仰ぎ、風俗にハマる。最近は素人にも興味を抱き、合コンやナンパ三昧の日々を送る変態ライター。
「飛田新地は文化遺産だ!」委員会会長(会員1名、後援会員6名)

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