前回の記事で思い出したが、あれより前に一度、川崎の街を訪れたことがあった。
その日、翌日の仕事の関係でレンタカーを借りていた俺は、夜も更けた頃、絶滅の危機にあると言われていた川崎のちょんの間エリアを偵察していた。
噂通り、一発かましてくれそうな女性は見当たらず、辺りは閑散。なんとも寂しい光景だったことを覚えている。
だが、これで帰れないのがトビタ。もう夜12時近いというのに、閉店間際にソープへ飛び込み。気付けば受付でボーイと交渉していた。もちろん、空いている女性は少ない。
「お兄さん、ラストです。いけるのは、この2人だけですね」
薄笑いを浮かべたボーイは2枚の写真を取り出し、俺に見せた。
もうこんな時間だ、あまり期待しないでおこう。そう言い聞かせていた自分だが、写真を見た瞬間、一気に鼻息が荒くなった。片方の子が、たまらなくかわいかったのだ。
俺はもう即決しても良い気分だった。若くて、顔も良くて、背も高い。写真とはいえ、これは痩せている。
こんな時間に、川崎で。たまには良いこともあるもんだ。
だけど、それが逆に不安でもあった。有名店でもなければ料金も格安。そんなうまい話があるのだろうか。
少し戸惑っていると、ボーイが「この子はオススメですよ」と言う。
しかし困ったのは、ボーイの指差した女の子がもう片方だったこと。これは予想外。
「お兄さん、こんな時間に来るくらいですから、かなりのやり手ですよね。それならこっちですよ。巨乳でテクニックが抜群。歳はやや上だけど、その分すごいですから」
うーん、なぜだ。かわいさで言えば明らかに俺の選んだ子が上なのに、なんの躊躇もなくもう一人を勧めてくる。
俺は改めて写真を見たが、納得できない。いったい、なぜだ。
「お兄さん、もう一人は確かに若いけど、素人同然ですよ。それならコッチ。もうね、テクニックが全然違うから。あ、じゃあ言っちゃおうかな。うん。この子ね、元AV女優」
俺は即決した。もちろん、AV女優に。
なんだ、それなら先に言ってくれよ。悩んだ自分がバカみたいじゃないか。これは楽しい夜になりそうだ。
俺はもう、すっかり上機嫌。
そしてカーテンを開けると、目の前には太ったオバさんが立っていた。
俺は現実を受け入れられず一瞬通り過ぎようとしたが、その太い二の腕でしっかりと捕獲された。
俺は忘れていたんだ、AVにも色々あるということを。これは完全に熟女系じゃないか。
しかも、良くないのは容姿だけではない。とにかくずっとしゃべってくるのだ。
それも枯れ枯れのダーティな声で。体を洗うにも、マットをするにも、おしゃべりおしゃべり。
一番呆れたのは、口でくわえながらもしゃべっていたこと。まるでアイスクリームを食べるような感覚で、乱雑に俺のセガレをペロペロしていやがる。頼むから静かにしてくれ。
結局、挿入中もペラペラペラペラ。こっちはまじめに腰ふってるのに、一人手叩いて爆笑。
一人でしゃべって、一人で楽しんでいるのだ。俺は、自分の選択を心から悔やんだ。
冷静に考えれば分かる。
あの時間にあの2人が残っていたら、店はこの女を推すに決まってる。残り少ない時間で2人とも客を付けるには、この女の処理が課題なのだ。
あれ以来、どんなにボーイに勧められても、自分の意思を尊重することにしている。
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