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すべてはあの谷間から始まった…【前編】

今から2カ月と少し前。ちょうどゴールデンウィークの直前に行われた合コンで、俺はある女の子の胸の谷間に釘づけになっていた。

決して爆乳ではない。せいぜいCカップ。だけど、いや、だからこそ、その心意気に感動していたのである。
胸を出す=今日はお好きにしてください、というメッセージじゃないか。ハミ出ているのではなく、わざと出しているのだ。
そういう服を着てきたのだから、彼女の情熱をないがしろにするのは、男として無礼としか言いようがない。

ということで、俺は合コンの間、チャンスのある限り谷間を拝ませて頂いた。

だけど、気持ちとは裏腹に場は盛り上がらない。
谷間を見るたび下半身が堅くなっていたトビタとは対照的に、他の男性陣は緊張してしまったのか、まったくしゃべらないのだ。

仕方がないからその場ではアタックせず、帰り際に谷間女のアドレスだけ聞いておいた。

家に帰ってから「今度飲もう」とメールすると「そうしようそうしよう。いつにする?」とさっそく日にちを決めようとしてきた。
暇人の俺は来週末がガラ空きなので「早く会いたいから金曜の夜は?」と提案。すると谷間女は「空いてるよ! じゃあその日ね」と返してくる。
ああ、かつてない手応え。やっぱりあの子は、ウェルカム状態だったんだ。

そしてコンパから1週間後。
かつての賑やかさをやっと取り戻してきた渋谷ハチ公前で待ち合わせ。さすがに2週連続の谷間登場とはならなかったが、むしろその方が前回の谷間が貴重になるので好印象。
毎回谷間を出していたのでは、ただの露出狂になってしまう。
そうじゃなくて、あの合コンへの“意気込み”としての谷間だと考えたかったのである。

ただ、予想外だったことが1つある。服装があまりにロリコンだったことだ。
絵本の世界から出てきたような派手な色づかいは、多くの人でごった返すハチ公前でも間違いなく異色だった。
谷間女の年齢は28。ちょっとその格好はきつくないか。

道行く人から白々しい視線を若干感じたが、とはいえ、トビタはやる気マンマン。
服装などには構わず、予約してあったお店へ行く。相手の反応も上々だ。

次は既定路線でカラオケへ。
谷間女はレディー・ガガを連発し「洋楽しか聞かない」と言ってきたので、仕方がないからトビタも数少ない洋楽レパートリーを披露。

谷間女はカラオケが大好きらしく、歌ってばかりで勝負に出るタイミングがなかなか掴めなかったが、夜11時半頃、やっとアタック。
なんやかんやでキスまで持って行けた。

さてこのままホテルへ、と考えたけれど時間が微妙。相手は当然「今日は帰らなきゃ」と言ってくる。
今考えるとあそこでいつも通りゴネまくっていれば行けた気もするが、そのときは「まあ、次で確実にイケるからいいだろう」と、帰すことにした。

リスクを冒してでも行くべきか、それとも安全策を取って次に回すかは、判断に迷う所だと思う。
でもこのときは、次のアポ日を女から指定してきたくらいだったから、確信を持って安全策を取った。
しかし、それから約3週間、谷間女とは音信不通になるのである。

こんなことなら、ゴネまくれば良かった。
そう痛感したトビタだったが、しかし、この女との戦いはまだ終わらなかった。
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プロフィール

トビタ シンイチ

Author:トビタ シンイチ
24歳のときに訪れた飛田新地に深く感動。以来、あの地を心の故郷と仰ぎ、風俗にハマる。最近は素人にも興味を抱き、合コンやナンパ三昧の日々を送る変態ライター。
「飛田新地は文化遺産だ!」委員会会長(会員1名、後援会員6名)

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