風俗嬢の言葉なんて、ほとんどは嘘に決まってる。
たとえば「ああ、スゴい!」だとか「おっきい!」だとか「おかしくなりそう!」だとか、
女の子はさまざまな言葉を発するけど、それはやっぱりほとんど偽りのセリフだろう。
まあ、そうと分かっていて喜んでいる自分もいるのだけど
それとは反対に、男をゲンナリさせる嘘もある。
「腰を痛めてるから今日は騎乗位できない」なんて言うのは、おそらく動くのが面倒なだけだろう。
「ピアスがあるから耳は舐めないで」というのも、ただ単に舐められるのが気持ち悪いだけだろう。
俺なんか一度「昨日お客さんに乳首噛まれたから、おっぱいは触らないで」と言われたこともある。
それなら俺は何しに来たんだ。お金を返してくれ。
まあ最後のは例外だけど、男の色々な要望に対して、うまく嘘をついて断るのも、風俗嬢の仕事のうちだ。
しかし、一度だけ「これは嘘じゃない。本音だ」と思わず納得してしまったことがある。
あれは、確か二年前。ちょうど陽気が暖かくなった頃。
その日の俺は、お気に入りのソープ店に土曜の真っ昼間から揚々と向かい、
1時間くらい待ってようやく女の子とご対面した。
見るとルックスには何の文句もなし。表情はクールだが、ドMの俺にはむしろ良い。スタイルも良い。
服を脱ぎ始めた時には、すでに勝利を確信していた。
軽く体を洗い、お風呂に入る。使い捨て歯ブラシをもらって、入念に歯を磨く。
まだ何もしていないのに、やっぱりこの店はレベルが高いなあ、なんて大満足。
それだから、歯ブラシを持つ手にも力が入った。
歯磨きを終え、口をゆすぐ。その時、吐き出した水が少し赤かった。
俺は歯茎が弱いタイプだから、昔から歯を磨くとよく血が出る。こういう人は多いと思う。
だから、別にいつものことだと思っていた。
しかし、その血を見て女の子がポツリ。
「あ、もうキスできないね」
え、なんで?
最初はポカンとしたけれど、しばらく経ってピンと来た。
ああ! そういうことか! 何をうっかりしてたんだ俺は。
確かにこれじゃあ、キスはダメだ。それはさすがにできない。
どんなに見た目がかわいくても、サービスが良くても、キスできないのはつらい。俺は何よりキスがしたい。
もしあの日、ハプニング的に耳かきサービスを追加してくれなかったら、どんなに切ないソープになっただろう。
それ以来、ソープで歯を磨く時は、これ以上ないほどのソフトタッチを心がけている。
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