上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
トビタもずいぶん歳をとった。
そんなことをしみじみ感じたのは、年が明けて3日の夜。久しぶりに中学の同級会を開いたときだ。
同級会といっても、それはそれは小さな集まりなんだけど、とはいえ、そこではかつてのクラスメイト達の近況や噂話があちこちに飛び交う。
Aさんの結婚にBさんの出産、そしてCさんの離婚など、絶え間なく出てくる話題を聞いていると、しみじみ思うのだ。
「トビタよ、お前はこんな歳になって何をやっている」
特に、我が地元は田舎だから、結婚も早い。到底結婚しなさそうだったド変態の友人も、いつの間にか籍を入れてしまった。
みんな一般人になりつつある。
それなのに自分はなんだ。
年の暮れ、ふとムラムラが止まらなくなって30名の女性たちにメールを一斉送信している始末。
ちゃんとした恋愛なんて、もう何年もしていない。
少しはマジメに生きないとなあ。そんなことを、同級会の席でおぼろげに考えていた。
気付けば女の子たちの会話は、お決まりの恋愛ネタへ。
「そろそろ結婚するの?」、「うーん、まだかな」、「そっかあ。私も悩むんだよね、相手の親怖そうだし」なんて調子。
やっぱりそういう年齢なんだよなあ。自分もそろそろまともに恋人を探すべきなのかもしれない。
同年代の恋愛事情を聞きながら、自身の心境の変化を感じていた。
「今の彼氏とはどうやって付き合ったの? トビタにも教えて」マジメにたずねてみる。
「仕事絡みでその人と2人で出かける機会があったわけよ、たまたまね。そしたら帰りにさ、相手が急に『家に行きたい』って言うもんだからさ、まあ仕事の話もあったし家にあげたわけ。そしたら私もちょっと遊びたくなっちゃってさあ、そのまま、ね」
ヘイヘイ、アンタそんなユルユルだったのかよ! トビタはなんだか興奮してくる。
「そういうときってあるよね。私もこの前遊びでヤッちゃったもん。まあ、私はそいつと付き合ってないけどさ」
ヘイヘイヘイ、アンタもかよ! みんなユルユルじゃん。それを知ってたら夕方オナニーなんかしなかったのに。
なんて、さっきまでのセンチメンタルはすっかり消えていた。
ユルユル女性たちがいると発覚してからは、まさしく通常営業のトビタ。
みんなが健全に楽しく語り合っている場で、自分だけ「前よりかわいくなったじゃん」、「俺だって一度遊んで欲しいよ」、「ゴム付けるときってどうやればナチュラルになる?」という感じ。
トビタは1人、別のゴールを目指していた。。
だけど何も起きるわけがなく、結局は寒空の下をトボトボ帰るだけ。
帰り際、トビタの様子をずっと見ていた男友達は残念そうな表情でつぶやいた。
「お前さあ、同級生に行くのはいい加減やめろよ。もうそんな歳じゃないだろ」
…はい、すみませんでした。
こういう場で変な気起こしちゃダメ。「久しぶりに会った同級生と…」みたいなやつはAVだけで我慢。
はあ、本当に自分は中学のときから成長しない。とりあえず今日はおとなしく帰って、ゴム付ける練習でもしようか。
どちらにせよ、2012年もトビタのエロ探検は終わらなそうだ。
高校卒業までの18年間、実家で暮らしていたときは、親や姉、あるいは飼っている犬との共同生活でありながらも、彼らに見つからないようにうまくオナニーしていた。
正直、あのときは実家でオナニーすることが難しいだなんて、まったく思わなかった。
だけど、一人暮らしを始めてからは、これがどうもうまくできない。
社会人になって初めて帰省したある日。居間にいたら、真木よう子がテレビで巨乳を見せつけるものだから、ご飯前にもかかわらずニ階に上がって、自分の部屋で一発試みた。
エッチなビデオも本も何もないけど、そんなのは関係ない。もうすぐご飯だなんてことも知ったこっちゃない。
わずかな時間で一発抜く。これがトビタの真骨頂だ。
その自信にたがわず、さあもうすぐフィニッシュだ…と、ティッシュを持つ左手に力を入れた瞬間、階段の下から父親の声が聞こえてきた。
「シンイチー、ご飯出来たぞー」
マズイ。この瞬間はマズイ。なんて、アタフタしているうちに相棒は着地点に入った。
そしてすでに、もう噴射口からは第一陣が飛び出そうとしている。
とりあえずしっかり出してから返事をすればいい。おそらくほとんどの人がそう思うだろう。
でも、もしオナニーの真っ最中、しかも一番無防備なフィニッシュの瞬間に下から父親に呼ばれたら、きっと誰もがパニックになって、こんな恐れを抱くのではないか。
「早く返事をしないと、親父が2階に上がってきてしまう!」
事実、トビタは本気でそう考えた。そして、発射と同時に声を絞り出して返事をした。
「あっ、ああ…」
いけない。これじゃあ、まるであえぎ声。
父親もびっくりしただろう。息子はいったい何をやっているんだ、と。おかげで飯もマズくなる。
でも仕方ない。タイミングが悪かったんだ。
その後、父親とは若干気まずい空気になったが、しかし、所詮は返事が少し不自然だっただけ。
別に現場を見られたわけではない。うろたえちゃダメだ。
なんて思っていたら、今度は本当に現場を目撃されてしまった。しかも姉に。
あれは社会人2年目の夏休みだろうか。
実家にはトビタと姉しかいない状況。姉は居間にいたから、またも自分の部屋にいたトビタはリラックスした状態でオナニー体勢に入る。
実家には良いオカズがないから想像が命。極上のエロシーンを思い浮かべようとした。
誰も来ないだろうという安心感、そして解放感。それらが極限の集中を生み、周囲の雑音を完璧に遮断したのだろう。ふと気付いたら部屋のドアが開き、姉が入ってきた。
そのときトビタ、下半身裸、ベッドの上にあぐらをかいて左手にティッシュを持った状態。
「シンイチ、コーヒー作ったけど…わっ、びっくりした…」
姉がこんな行動を取るのは初めて。トビタは布団をたぐりよせ、必死に股間を隠した。
姉も瞬時に色々なことを考えたのだろう。
弟の哀れな姿を目撃し一瞬はうろたえるも、その後は股間を布団で隠す弟に「コーヒー作ったけど飲む?」と見事に平然を装った。
あのとき、何事もなかったように取り繕う姉の姿が、社会人2年目のトビタにはむしろ苦痛だった。